ECで見かける「RT577(R3)」などの“多機能検出器”。本当に役に立つのか?民生入門機とプロ機材の違い、技術的背景、そして購入判断のポイントをまとめました。

結論(先出し)

  • まずは“買わないのが正解”寄り。 型番・仕様・実測検証が曖昧なノーブランド枠が多く、反応=発見とならないケースが多い。
  • それでも自分で試したいなら、返品・保証が明確な量販店の入門機で挙動を体感 → 必要性を感じたら専門メーカーの本格機または専門業者へ。

そもそも何を検出する機械?

盗聴・盗撮デバイスが出す無線(RF)を検出するのが基本です。近年は Bluetooth/Wi-Fi(2.4/5GHz)/セルラーなどデジタル帯域も対象。民生入門機は「強度反応(ビープ/LED)」中心で識別が難しく、誤検知や見逃しが発生しがちです。

一方、プロ機は広帯域高速スイープスペクトラム/ウォーターフォール表示ログ記録簡易デモジュレーション等で「何の信号か」を見極めやすいのが特徴です。

無線が出ない機器はどうする?
電波を出さないカメラ等はRF検出では見つかりません。その場合はレンズ反射検出NLJD(非線形接合検出器)有線解析など別手段が必要です。

価格帯とできることの目安

  • 民生・入門(数千円〜数万円):アラーム/LED中心。帯域狭め。誤検知/未検知リスクあり。
  • 準プロ/ハンドヘルド(10万〜50万円級):周波数表示・ログ・簡易解析あり。現実的な現場運用が可能。
  • 本格TSCM(100万〜数百万円):携帯型スペアナ、NLJD、電話線/VoIP解析までフルセット。

RT577(R3)の実態メモ

ECモールで「R3」「RT577」「磁場検出」等のキーワードで出てくる製品は、いわゆるジェネリック/ノーブランド枠が中心。レビューはアフィリエイト色が強いページも多く、仕様の一貫性・検証透明性に乏しい傾向があります。

また同じ「RT577」でも量販では無関係ジャンル(例:補聴器型番)がヒットするなど、型番検索の短絡は危険です。

世界の専門メーカー(TSCM)早見表

メーカー 主要製品 特徴 価格帯(目安) 購入先
REI(米) OSCOR(携帯型スペアナ)、ANDRE(広帯域)、ORION NLJD、TALAN(電話線/VoIP) 官公庁・法人向け本格TSCM 数百万円クラス中心 公式/正規代理店
JJN Digital(英) HSA-Q1(1MHz〜13.44GHz)、PRO-W10GX(〜10GHz) 携帯型でも解析UIが充実 数十万〜百万円超 公式/正規代理店
iProtect 1206i(KJB) DD1206/1206i(〜12GHzのデジタルRF検出) 入門〜準プロの定番 数万円台(海外実売で数百USD) KJB公式

「それでも買う」なら——まずは量販の入門機で挙動チェック

誤検知や検出限界はあるものの、まずは実機で“反応の出方”を知ることが大事。返品・保証・店頭相談の点でも量販は安全側です。

カテゴリ 参考モデル 周波数イメージ 価格帯 購入
民生・入門 REVEX(KCG2W / KCG5B など) 例:76〜770MHz/1.5〜2.5GHz(モデル差あり) 数千円〜数万円 ヨドバシ.com
入門機の注意
強電界(家電・ルータ・基地局近辺)で反応しやすく、反応=盗聴器ではありません
有線式や無線を出さない機器には反応しません。判定に迷ったら専門業者も選択肢。

買う前チェックリスト

  1. 目的の明確化:自宅の簡易点検か、機密の本格対策か。
  2. 対象技術:アナログRFだけか、Wi-Fi/Bluetooth/セルラーも必要か。有線やレンズ検出は要るか。
  3. 可視化の必要性:周波数表示・ログ・解析が必要なら入門機は不向き。
  4. 運用コスト:スポット調査なら専門業者の方が確実・早い場合あり。
  5. 購入リスク管理:まずは量販入門機で体験→必要に応じて上位機や業者へ。

まとめ

RT577(R3)系は“買わないのが正解”が基本線。 どうしても試す場合は、ヨドバシ等の入門機で“反応の出方”を確認してから、本当に必要な要件(帯域・解析・ログ・NLJD・電話線等)を洗い出すのが堅実です。機密領域や再発懸念があるなら、REI/JJN 等の本格機専門業者の出番です。