Amazonで「iFixit」と検索すると、精密ドライバーセットや修理キットがたくさん出てくる。「iFixitってメーカーなの?それともただの通販サイト?」と気になったので、自分用に整理しておくメモ。前回の「修理する権利メモ」と「iFixitって何者?記事」とつながる“第3のノート”として書いておきます。
はじめに:前2本の記事とのつながり
この記事は、次の2本の続きとして書いています。
2本目の記事では主に、 「iFixitは、世界中の“直し方”が集まる修理マニュアルサイト&パーツショップ」 という視点でまとめました。 それとは別に、今回は 「iFixitというブランド(工具メーカー&販売者)」 にフォーカスして、 Amazonで見かける「iFixit製品」の正体を自分なりに整理しておきます。
結論:iFixitはメーカーでもあり、ショップ/プラットフォームでもある
先に結論を書いておくと、iFixitはざっくり次の3つの顔を持っています。
- 修理マニュアルサイトの運営者(分解ガイドやQ&Aコミュニティ)
- 自社ブランド工具のメーカー(精密ドライバーセットなど)
- 修理用パーツ&工具の通販プラットフォーム(純正パーツや互換パーツの販売)
Amazonで見かける「iFixit」の商品は、このうち主に 「自社ブランド工具」と 「修理キット(部品+工具セット)」 にあたるものが多いイメージです。
iFixitの「メーカーとしての顔」:自社ブランドの工具
まず、はっきり「iFixit製」と言えるのが 自社ブランドの工具類です。
- 精密ドライバーセット(トルクスやペンタローブなど特殊ネジ対応)
- スパッジャー(こじ開けツール)
- オープナー、ピック、吸盤などの分解ツール
- ESD(静電気対策)マットやリストバンドなど
これらは、 iFixitが自分たちで設計したオリジナル工具で、 分解ガイドのノウハウを反映した「修理しやすさ」に振った仕様になっているのが特徴です。
Amazonで「iFixit ドライバーセット」「iFixit Kit」などを検索して出てくる ロゴ入りのツール類は、この“メーカーとしての顔”で出ている商品と考えてOKです。
iFixitの「ショップ/プラットフォームとしての顔」:パーツ販売
もう一つの側面が、 「修理用パーツを集めて売るプラットフォーム」としての役割です。
iFixitのストアでは、
- スマホやタブレット用のバッテリー、画面(ディスプレイ)
- ノートPCやゲーム機の部品(SSD、ファン、ボタン、外装パネル など)
- メーカー純正パーツ(Surface / Xbox / Pixel など、一部の公式コラボ品)
といった「他社製の部品」が多数並んでいます。
ここで重要なのは、 「iFixitはスマホ本体やPC本体を作っているメーカーではない」という点です。 あくまで 「他社製の機器を直すための部品・工具を供給する側」 にいて、純正パーツの販売や、品質チェック済み互換パーツの提供を行っている立ち位置になります。
Amazonでの「iFixit製品」の見方と注意ポイント
自分が実際に気になったポイントは、 「Amazonで見かけるiFixit製品は、どういうつもりで選べばいいか?」 というところでした。 ざっくり、次のような見方で整理しておきます。
1. 明らかに「工具セット」はiFixitの自社ブランド
商品名に 「iFixit ○○ Kit」「iFixit 精密ドライバーセット」 のような表現が入り、ツールがメインになっているものは、 基本的に iFixitが設計した純正ツール と考えてよさそうです。
こういった工具類は、
- 「これ一式持っておけば、当分は何でもバラせる」
- 「安いノーブランド工具より、ネジ頭をナメにくい」
という意味で、最初の1セットとして買う候補になります。
2. 修理キットは「部品+工具パック」として見る
バッテリー交換キットや画面交換キットのような商品は、 「部品(純正 or 互換)+必要な工具+手順ガイド」 がセットになっていることが多いです。
ここで意識しておきたいのは、 部品そのものはiFixitの自社製ではない場合もあるという点。 iFixitは 「その機種を直すために必要なものをまとめて提供する側」 なので、 部品の製造元は別、という構造になりがちです。
3. 類似商品との区別(なんちゃってiFixitに注意)
Amazonには、 「iFixit風」のパッケージや商品名で出ている安価な工具も並びがちなので、 次のあたりを軽くチェックするようにしておきます。
- 販売元・ブランド名が「iFixit」になっているか
- 商品画像に出てくるロゴが、公式サイトのロゴと大きく違わないか
- レビューに「iFixit公式」「正規品」「並行輸入」などの言及があるかどうか
安さ重視でノーブランド工具を使うのももちろんアリですが、 「ネジをナメると本体側が終了」という場面も多いので、 メイン機の修理には、 ちゃんとしたメーカーのツールを使うほうが安心だと感じています。
Right to Repair/iFixit関連記事との役割分担
自分用メモとして、3本の記事の役割を整理しておきます。
-
修理する権利メモ(Right to Repair 自分用ノート)
→ 法律・制度・メーカーの方針など、「考え方」のレイヤーをまとめた記事。 -
iFixitって何者?記事
→ iFixitを「修理マニュアル+パーツ販売+活動家」として整理した、全体像のメモ。 -
本記事
→ Amazonなどで見かける「iFixit製品」視点で、 iFixitを工具メーカー&ショップとして理解するためのメモ。
それぞれの記事内で相互リンクしておくことで、 後から読み返したときに 「制度の話 → サイト全体像 → 実際にどの製品を選ぶか」 という流れでたどりやすくなるはずです。
まとめ:VAIOでの挫折経験から見えた「見る目」
過去に、ソニー製VAIOの復旧で、 「データは救えたけれど、本体としての起動まではたどり着けなかった」 という経験がありました。 BIOSや起動ロジックがソニー独自仕様になっていて、汎用PCの感覚では太刀打ちしづらかったのが大きな壁です。
その経験を踏まえると、これからは次のような「見る目」を持っておきたいと感じています。
- 新しいPCやガジェットを買う前に、iFixitで機種名を検索してみる
- メーカー純正パーツや修理キットがどれくらい用意されているか、ざっくりチェックする
- Amazonで工具を買うときは、「なんとなくそれっぽい」安物ではなく、メーカーのはっきりしたセットを1つ持っておく
iFixitは、 単に「修理好きのマニア向けサイト」ではなく、 自分のデジタル資産と、これから買う機械の“将来の扱いやすさ”を考えるためのヒントをくれる存在 だと感じています。
今後も、なにか新しい発見があったらこの「自分用メモ」シリーズに追記していく予定です。
